ギターエフェクター用ポテンショメーターペダルを作る
ギターエフェクターは、つまみをひねることで音色を変えることができる。
▲ギターエフェクターのいらすと
このつまみはボリュームやポテンショメーターなどと言われており、これをギターから手を離さずに、足で操作できたらおもしろい。そこで、ギターエフェクター用のポテンショメーターペダルを作ってみた。
作ったもの
ポテンショメーターとペダルが一体化した構造になっている。
これはステレオミニジャックで接続可能なモジュールになっており、専用に自作したエフェクターに繋げて使うことができる。つまり、エフェクターからポテンショメーターのみ外部化したのだ。抵抗値が同じなら、別のエフェクターにポテンショメーターを使いまわすこともできる。
配線
▲配線図
これは、自作のエフェクターへ接続した時の配線図。
エフェクターは『ド素人のためのオリジナル・エフェクター製作』のカオスディレイを参考に作ってみた。(といってもポテンショメーターの部分をφ3.5ステレオミニジャックに置き換えただけなのだが)
ミニジャックの端子には数字が振られており、それをエフェクター本に書かれたポテンショメーターの端子の数字と合うように配線している。
ド素人のためのオリジナル・エフェクター製作【増補改訂版】 (シンコー・ミュージックMOOK)
- 作者: 遠藤智義
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▲自作エフェクター「カオスディレイ」
ジャック下の「100k B」という文字は、100kΩでBカーブのポテンショメーターをつけることを表している。
▲エフェクターとの接続例
ギア比
ペダルを20°踏み込むと、ギアで接続されたポテンショメーターが300°回るようになっている。
ギアのかみ合わせで重要となるのが、歯数z、ピッチ円直径d、モジュールmで、
それぞれは以下の関係にある。
ギア同士はモジュールが一致していなければ噛み合わないため、今回はモジュールを1.5で統一している。
ギア比は20°の踏み込みで300°回転させたいため、速比uは300/20=15となる。
VLP-COVERのギア、VLP-GEAR1の小径ギア、大径ギア、VLP-GEAR2のギアをそれぞれ1,2,3,4とすると、
となる
ギア同士の中心距離aは2つのギアのピッチ円直径d1, d2の関係から
となる。ただし、プリンターの精度によって刃先が太くなるため、中心距離をコンマ数ミリ長くしている。
もし、ギア比をカスタマイズしたい場合は、中心距離が同じになるように歯数とピッチ円を調整するとよい。
図面 & 3Dデータ
詳細な3Dデータはthingiverseに載せており、3Dプリンターでパーツをプリント可能。
自分はPrintrbot simple metalというプリンターを使用しており、材料はPLAで造形している。
www.thingiverse.com
追加で必要な部品は
- ポテンショメーター : M7ネジで軸径φ6のもの
- φ3.5ステレオミニジャック : 型式 MJ-073H
- ステレオミニプラグ オス-オス
- イモネジ M3x4
- 各種配線材
3Dデータは 「VLP-ASSEMBLY.f3z」をfusion360で開くと編集することができる。
▲Fusion 360の画面
ポテンショメーターの種類やギア比を変えたい場合は、CADデータをいじってみてほしい。リミックスは自由なので、「もっとこうしたらええやん‥」というところがあれば好きに変えて公開してもらえるとありがたい。
作り方
作り方をさらりと説明する。
1. すべての樹脂パーツをプリントする
2. 「VLP-BODY」のφ10とφ5の穴を同じサイズのドリルで拡げる
(プリンターパーツは穴が小さくなるため)
3. 「VLP-GEAR2」のネジ用穴をφ2.5のドリルで拡げて、M3のタップでネジ穴を作る
4. ジャックとポテンショメーターを配線し、本体に組み込む
5. ペダルを閉じた状態で、ポテンショメーターが反時計回りの限界点になるようにギアを組む
6. このとき、ポテンショメータにつけた「VLP-GEAR2」のネジ穴にM3のイモネジをつけて固定
7.「VLP-SHAFT1, 2」の端に「VLP-CAP1,2」を取り付ける